愛の橋、かけましょう。

小学校に入学したばっかりの6歳のとき。
隣の家のベランダに行きたくて、自分の家のベランダから
短い足を一生懸命伸ばして渡ろうとして落ちかけたとき

助けてくれた幼なじみの智久。ベランダから落ちかけたのは、

結局、両親にばれちゃってしっかりしぼられた。
でも、お父さんがもう落ちかけないようにと、家のベランダと
智久の家のベランダを板の橋でつないでくれた。
今じゃ、橋を渡る方が危なくて使えなくなった。
私たちの、心をつなぐ橋も、もう使えないの?

【ピンポ〜ン】

柚:智久!学校行こうよ!
美:あっ、柚季ちゃん。今日は智久、仕事って言って朝早くに行ったの。
毎日、迎えに来てくれてるのにね...。本当ゴメンね
柚:イエ×2仕事なら仕方ないですしね。
美:いってらっしゃい。柚季ちゃん。

最近多くなった1人での登下校。
それは何故かというと、山下智久(マンションの幼なじみ)は、
大人気ジャニーズJr.のメインだからだ。
最近、智久が冷たくなった。前は、仕事の予定もちゃんと

教えてくれたのに...今じゃ何にも教えてくれない。

柚:なんでだぁー智久ぁぁー

空に問いかけてみても答えなんて教えてくれない。

柚:智久のことこんなにスキなのに!!

空を見上げた目ににじむ涙。
こらえても、こらえても流れてくる。

柚:こんなんじゃ、学校行けないジャン

そこで私は、近くにあった公園に立ち寄った。

柚:う〜ん。涙止まらないよ。智久のせいだぞ!!
智:何がオレのせい?

ブランコに座っていた私の後ろから声がした。

柚:智久?
智:うん。俺。こんなところで何してんの?
柚:サボリ

下を向いて、涙を拭く。

智:いけないんだ!先生に言いつけるぞ!
柚:ダメ!智久こそ仕事は?
智:無い。
柚:それこそサボリじゃん。
智:うん。これも柚季のためだし

智久はにっこり笑って私の頭をポンっと叩いた。

柚:私のため?
智:うん。これ、柚季にあげようと思って

前に差し出された箱。

柚:開けて良い?
智:うん。
柚:わぁ!!ネックレスだ!!!!!

そのネックレスは、水色のお花が真ん中にあるものだった。

智:これ、欲しいって言ってたでしょ?
柚:うん。結構前に一緒に出かけたときに言った。
智:突然だけどさ...付き合って。

智久のことば

柚:え...でも、智久私のこと嫌いになったんじゃないの?
智:はっ?なにそれ?
柚:だって最近、智久冷たかったし、ベランダから覗いても寝てるし
智:俺、冷たかった?ゴメン×2柚季に告ることばっかり考えて
周りに相談しまくって、仕事で疲れて寝て、も〜とにかく大変だったの!
柚:そうだったんだ、私こそ自分のことばっかり考えてて、
智久のこと考えてなかった。ゴメンね。こんな私で良ければ付き合って
智:マジ!!!全然OK!!うれしぃー

ぴょんぴょんと飛び跳ねる智久、いつものCOOLさはどこへやら(笑)
相当うれしいんだ。私も、うれしいけど。

智:抱きしめて良い?

急な智久のことば。

柚:え...良いよ。

ぎゅーーー(はぁと)

柚:ねぇー智久、キスして良い?
智:え...マジで?えっとあのーんー

おろおろしてる。またいつもと違う智久。

柚:しちゃう。

ほんの少しの時間。だけど長く感じる時間。
智久がまたぎゅーって抱きしめてくれた。

柚:ねぇ智久!また、ベランダからお部屋に入っても良い?
智:え...いいよ
柚:じゃぁさぁ、あの板もっと丈夫なのにしようよ!
智:そうだな。
柚:私と智久の新しい愛の橋だ!
智:うわ!クサ!
柚:いいじゃん!!
智:はいはい
柚:あぁーバカにした!!


小説のお部屋へ戻る  

HOME